脳卒中片麻痺患者様の麻痺や随意性(意識的に動かせる関節運動のこと)、病態(病気の様子や外面に現れ、見て取れる姿)は、以下の5種類(6パターン)に大別することが出来ます。
※ 下記の該当症状をクリックして頂くと概要が見えます

麻痺した足に体重をかけると、ヒザが「ガクッ」と折れる → 弛緩性麻痺
足・ヒザがグラグラ、ガクガクしており、ヒザが安定せず常に前後方向へ不安定 → 一見弛緩様麻痺
ヒザが棒のように固定されており、ある程度安定している → 痙性麻痺:伸筋優位型
ヒザが曲がった状態で、足が床に着きにくい → 痙性麻痺:屈筋優位型
ヒザは棒のような固定性が非常に強く、硬い。本人の意思ではヒザは曲がらない → 固縮・痙性型
体重をかけるとヒザ関節は「逆くの字」になる → 反張膝変形



■弛緩性麻痺とは・・・
随意運動 の力が全くない状態を指します。麻痺側の足は常にダランとしており力を入れることが出来ません。弛緩性麻痺の場合は発病してからの経過年月(日数)にもよりますが、座った状態でも身体が不安定となり、坐位保持も困難な場合があります。立位・歩行では膝関節が前へ「ガクッ」と折れる感じが見られ、身体全体が崩れるような場合と、膝関節が前へ「ガクッ」と折れはするものの途中で止まる場合があると考えられます。途中で止められる場合は坐位保持が安定していることが多く、少しは随意運動 (連合反応:良い方の足に力を入れると麻痺した足にも力が入る)が出ると思われます。
■弛緩性麻痺の特徴的な立位
平行棒などに寄りかかった姿勢で、麻痺していない方の足で突っ張って立つ。
麻痺側の足はダランとしており、体重がかけられず、一歩前に出た形となります。
麻痺した足だけでは片足立ちが出来ず、膝が「ガクッ」と折れ、身体が崩れ落ちます。そのため、介助者が麻痺側に付いて立つなどの介助が必要となります。
A:平行棒にもたれ掛かった立位
B:麻痺側の足には体重が掛けられない
C:麻痺側に体重を掛けると膝が「ガクッ」と折れ曲がるため介助を要する
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■一見弛緩様麻痺とは・・・
随意運動 の力が非常に弱く、関節を動かせる範囲も少ない。座った位置から足を床から離すと垂れ下がった状態となり、膝から下はブラン、ブランの状態を呈します。そのため歩行においても足・膝から下はグラグラ、ガクガクしており、膝が安定せず常に前後方向へ不安定となります。また、おしりは後方へ引けた状態になり、胴体は前屈みになり、横への振れ幅が大きくなります。
■一見弛緩様麻痺の特徴的な立位

A:立ちやすい楽な立位は休めの姿勢
B:矯正敵な両側揃い足の立位は膝が曲がる
麻痺していない方の足で突っ張って立つ。
麻痺側の足は常に麻痺していない方の足より半歩から1歩前へ出ており、膝関節は伸びた状態で体重は殆どかかっていなません。
両方の足先を揃えて立たせると、麻痺した方の膝が曲がるのが特徴です。
麻痺した足だけで片足立ちをすると、膝から崩れ落ちることはありませんが、膝は前後方向に不安定でグラグラした感じになります。
身体は麻痺していない方の平行棒などに寄りかかった姿勢で保持するような感じになります。
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■痙性麻痺:伸筋優位型とは・・・
随意運動 は股関節を曲げる、膝関節を曲げるといった動作が難しいですが、足全体を曲げた状態から膝を伸ばす力はある程度あります。そのため歩行時の膝関節の状態は、まっすぐ棒のように伸びた感じで安定感はあるように見えます。麻痺側の足を振り出す時はつま先の引っかかりが起こりやすいため、身体を横に傾けたり、足を振り回すようにして歩くのが特徴です。
■痙性麻痺:伸筋優位型の特徴的な立位

A:両足に体重を掛けて立つことが可能
B:麻痺側の足は膝が伸びきり棒のような感じになる
両足で立つことが出来ます。
麻痺していない方の足、麻痺側の足共にしっかりと伸びています。
しかし、麻痺側の足は常に麻痺していない方の足より半歩程前へ出る感じになります。
麻痺した足だけも片足立ちが出来る場合が多く、膝がグラグラした感じはありません。
身体は若干麻痺していない方の平行棒などに寄りかかった姿勢で保持するような感じになります。
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■痙性麻痺:屈筋優位型とは・・・
随意運動 は股関節を伸ばす、膝関節を伸ばすといった動作が難しくなります。足全体を伸ばした状態から膝を曲げる力はある程度あります。そのため歩行時の膝関節の状態は、屈筋優位が強すぎると麻痺側の足が床に着かず、立つこと自体が困難となり歩行が出来ません。屈筋優位が弱い場合には、歩行は可能ですが膝が前に突っ込んだ感じに見え、足の振り出し幅も狭く、スピードも遅くなります。
■痙性麻痺:屈筋優位型の特徴的な立位

A:両足を床に着けてたつことは可能
B:身体は前屈みとなり、全体的に曲がった感じで立つ
屈筋優位が強すぎると麻痺側の足が床に着かず、立つこと自体が困難、若しくは麻痺していない方でしか身体を支えることが出来なくなります。
屈筋優位が弱い場合には、両足で立つことは可能となりますが、両膝を曲げて立ち、身体は前屈みの姿勢になります。
麻痺していない方の膝を伸ばして立たせると、麻痺した側の膝は曲がり、かかとが床から少し浮き、つま先立ちのような感じで立つことが多く見られます。
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■固縮・痙性型とは・・・
痙性麻痺の伸筋優位型の様な足ですが、筋肉の緊張が非常に強く硬いため、介助者が足を曲げようとしてもなかなか曲げることが出来ない麻痺の種類です。そのため 随意運動 は殆どなく、自分で動かすことが出来ません。足は常に伸びきった状態になります。特に足首が硬くなり、つま先は下向きになります。そのため立位では麻痺側のかかとが床に着きません。膝は伸びきった状態ですが、足の底がしっかりと床面に着いていないため身体は非常に不安定になます。歩行は麻痺していない方の足をなかなか前に出すことが出来ず、困難となります
■固縮・痙性型の特徴的な立位
立つことは何とか可能ですが、身体が非常に不安定なため常に介助を要すか平行棒内での立位や歩行に留まります。
立位姿勢は麻痺側の足が突っ張った状態となり、かかとが床に着かず常につま先立ちのような状態となります。そのため麻痺側の骨盤が突き上げられたようになり、身体は麻痺していない方に大きく傾き不安定となります。麻痺側片足立ちは難しいです。
常に踵は床に着かず、足は伸びきったままで、立位姿勢が保てず介助を要する
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■反張膝変形とは・・・
麻痺の種類とは違いますが、脳卒中片麻痺患者様では時々見られる変形になります。反張膝変形は体重をかけると膝関節が「逆くの字」になる状態を指します。この反張膝変形のやっかいなところは、歩ける者がその変形状態で予防をせずに歩くことを続けていくと、どんどん進行していくことです。はじめは少し膝関節が反りかえるような見た目であっても、年月を追うことで信じられないくらいに膝が反りかえり、歩けなくなってしまいます。
■反張膝変形の特徴的な立位
両足で立った場合にはあまり目立って悪い姿勢にはなりません。
麻痺側で片足立ちをしたときに異常な徴候が目立ってきます。
反張膝変形が軽度な場合であれば膝関節が若干「逆くの字」を示します。痛みは患者様により訴える場合と、訴えない場合があります。
反張膝変形が中等度から重度になると「逆<の字」はひどくなり、麻痺していない方の足より10cm以上反りかえる場合もあります。
重度になればなるほど痛みの訴えは少なくなるようです。
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用語解説
・随意運動例えば意識して自分の手足を動かそうと行うような運動をいいます。私たちの運動のほとんどがこれです。

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