弛緩性麻痺は大きく分けて発症(脳梗塞や脳出血をおこした日)から1〜2ヶ月 くらいまでの回復段階、回復途上中の病態と発症から月日(6ヶ月以上)が経っても手や足がブラブラした状態(遷延性弛緩性麻痺)のもの2つに分けられます。 弛緩性麻痺に対する従来からの下肢装具療法は、膝が前方へ折れることに注意が必要なため体重支持を目的とした下肢装具が処方・製作されるのが一般的です。 装具は金属支柱付き長下肢装具というものを使用します。膝上15B程度までの装具で足の横に金属の支柱が立った形をしています。膝の前方への折れを防ぐため に膝関節辺りにロック機構のついた支柱や膝当てなどが取り付けられています。膝下の部分は金属製の支柱に靴が取り付けられているもの(金属支柱付き短下肢 装具)と、プラスチック製でふくらはぎの上から足底まで覆われている靴べらのような形(シューホーンブレース)をしたものが一般的に処方されます。 回復段階での弛緩性麻痺の場合、膝折れ期には長下肢装具の膝ロック機構を使い麻痺側の足へ体重を負荷する練習や、バランス訓練、膝ロック機構を外し体重支 持の状態から膝を伸ばす訓練などがリハビリでは行われます。膝折れが止まると膝から上の金属支柱を取り除き短い装具にすることが可能です(短下肢装具と呼 びます)。回復段階に乗り順調に回復した場合、短下肢装具で十分歩けるようになる人や装具自体を必要としなくなる人も数多くいます。 私共はこの長下肢装具の流れを2段階での下肢装具療法と呼んでいます。それでは膝折れが止まると全ての人が実用的に歩けるようになるのでしょうか。答えは 否です。なぜなら膝折れが止まっていれば長下肢装具は必要ではありません。長い、重い、かさばる、また自分で装着することが出来ないなど実用歩行にはなり ません。また、短下肢装具にしてはみたものの「膝が不安定で歩けない」や「足に力が入らず足が前へ出ない」「バランスがとりにくい」など常に介助や監視が 必要な人もいます。この現象は「帯に短し、たすきに長し」です。私共は膝の安定性を得る、力を入れやすくする、バランス能力を高めるなど必要に応じた装具 療法を展開しています。つまり「帯に短し、たすきに長し」の帯とたすきの中間的な装具療法で、従来の2段階での下肢装具療法に対し3段階での下肢装具療法 と呼んでいます(詳細は後ほど)。一般的に遷延性弛緩性麻痺の場合は発症から長年経過しており、今後も麻痺の度 合いの回復はなかなか難しくなります。そのため立位・歩行訓練を行うときも膝 が折れるのを注意し、体重支持を目的とした下肢装具が処方・製作(上記の長下肢装具)されリハビリを行います。


上述したように弛緩性麻痺は大きく分けて、急性期〜回復期にかけての弛緩性麻 痺と遷延性弛緩性麻痺の2つの病態に分けられます。 私共の弛緩性麻痺に対する下肢装具療法も、従来通りの考え方が基本で体重支持 を目的とした下肢装具を処方・製作します。それでは何が違うのか?使用する下肢装具類に違いが出てきます。急性期で膝折れが多く出現する時期には、装具は 金属支柱付き長下肢装具というものを使用します。この部分は従来のものと同じものを使用します。膝上15B程度までの足の横に金属の支柱が立った装具です。 膝の前方への折れを防ぐために膝関節辺りにロック機構のついた支柱や膝当てなどが取り付けられています。また、この金属支柱とは別に膝上のプラスチック製 の大腿カフ(太股の前面部分に当てるパーツ)を同時製作しておきます。 膝下の部分はプラスチック製の装具(下腿シェル:ふくらはぎを後方から覆うパ ーツ)となり足関節部分に金属の調節式継手が用いられます。また、下腿シェルは膝関節にも調節式継手があり、後に膝折れが止まると同時に金属支柱を除去し 大腿カフと連結します。下腿シェルの足関節と連結するのはプラスチック製の足底板がきます。急性期から関わった場合は病状の予後を予測した上でどのような 形に成形にするのかを決めます。 従来の回復段階での弛緩性麻痺の場合は膝折れが止まると、膝から上の金属支柱 を取り除きすぐに短い装具にしか移行することが出来ませんが、当院ではそこで ワン・クッション入れることで膝の安定性強化を行うことが目的です。装具は長下肢装具の部類に入りますが、全てがプラスチックで出来ており金属支柱付き長 下肢装具と比較した場合重くは感じません。また、金属支柱のように硬くもなく、自分の足にピタッと沿って装着するのでかさばりや違和感もさほど感じません。 自分での装着も可能なため、この状態でも実用歩行を獲得することができます。回復が良い場合には下腿シェルを途中から切り離し短下肢装具として使用するこ とも出来ます。 私共は膝の安定性が第一と考え現在まで、また今後もこの方針を貫きます。上記 しましたが、従来の2段階での下肢装具療法は「帯に短し、たすきに長し」の人 もおられます。帯とたすきの中間的な装具療法で、3段階での下肢装具療法です。遷延性弛緩性麻痺の場合は発症から長年経過しており、今後も麻痺の度合いの回 復はなかなか難しくなります。この病態に関しては私共も従来通りの考え方で立位・歩行訓練を行います。膝が折れるのを注意し、体重支持を目的とした長下肢 装具(金属支柱付のもの)を処方・製作しリハビリを行います。



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